エロール・カイン量産期は1980年代。ポップな空気感と一緒に汎用化の道をたどります。 | |
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エロール・カイン量産期のリンク集
エロール・カイン量産期はちょうど1980年ころを境に訪れます。この時期は若者の流行の流れの中でも大きな変革期にさしかかるころで、新たな技術革新の影響も手伝ってさまざまなカテゴリーがリニューアルされるときだと言えます。時代は正にテクノポップという感覚に置き換えられてゆきます。60から70年代に派生したいわゆるサイケデリックというテイストから丸ごと脱皮するかのごとく、20歳代を中心に趣味・傾向が変化してゆくのです。物事の深さより軽さを好み、彼らの世代が持ち合わせる大人や社会への対立の行為が反抗から無関心へと変遷してゆきます。ファッションなどでも無彩色が好まれる傍らで、淡いパステルカラーがふんだんに使われ、この頃アメリカの大学生の間で確立し始めたアイビー(IVY)スタイルなどと混ざり合い独特のカルチャーを醸してゆきます。そしてコンピューターの汎用化が挙げられます。これらは家庭で使用するものは、さほどの能力を持ち合わせてはいませんでいたが、それでも各メーカーは業務用での安価な製品を数々発表してゆき、音楽・映像クリエイター達の制作スタイルを一変させ、そこから生まれ出た新しい感覚が世の中を席巻して行くことになります。、時を同じくして、新たにデビューしたコミックス作家もこのニュアンスから多大な影響をうけます。前世代の作家とは異なりストーリー内容よりも、ビジュアル面を強く押し出し、全く違ったムーブメントを築きあげます。animetion制作はこの風を受けて数多くの制作が始まりました。以前はかなりのネームバリューのあった巨匠のマンガがその原作候補となっていましたが、80年代デビューのアーテイストの漫画が中心となりTV連続放送化されてゆきます。第二次ベビーブームの子供たちも10歳前後に成長し、幼いながらもそのアイデンティティーによって好みの作風をチョイスするまでになってきました。妖艶な内容もその中に占める割合が多くなる傾向にあり、ダイレクトに提示される頻度も相当多くなってゆきます。またこの頃になるとコミックを原作として頼らないanimetionも登場します。もともと秀逸な原作を数多く保有していた小説出版界では、それまでのanimetion制作に携わった技術者と提携して、キャラクターデザイン、絵コンテ、シーン効果を一から練り直し、内容・視覚とも大人が見て楽しめる作品がリリースされ始めるのです。これらは映画館などで劇場用として公開され、テレビ放送ではなしえなかったシーンやカットを多く盛り込んで多くのユーザーから支持さてゆきます。更にこの時代、エロール・カインという分野を前後二分する決定的な技術革新がありました。家庭用ビデオデッキの登場です。一般の記録媒体と言えばスチール写真による静止画が磁気記録による音声用のカセットテープが一般的でした。リール方式の本格的動画撮影フィルムの簡易版である8ミリ撮影機も発売されていたものの、フィルム現像のコストや本体価格が高価であったため家電レベルの普及には至りませんでいた。その点、家庭用ビデオデッキは音声カセットテープと同じ技術を用いて、現像の必要のない磁気テープを採用、それ自体をカートリッジ式のカセットテープとしたため多く一般に普及することになるのです。まずはじめにこの機材の需用を引き出したのが、何と言ってもテレビ放送電波をダイレクトに録画できることです。家庭アンテナとTVモニターの間にこれを設置することにより、受信できる番組を好きなだけ個人で保存できるようになったのです。ここから視聴者としてのユーザーは放映場所、時間から完全に解放されます。予約録画の機能を用いれば、時間をずらしての鑑賞が可能なほか、同時間帯の別番組を録画によって閲覧可能になりました。連続番組で見落としたものも、それを所有した知人などから貸借することでフォローすることもできます。こうしてここに執拗なまでに作品に執着する「オタク」という文化が発祥してゆくのです。彼らは膨大な作品群の中から秀逸なものを選びだし、その部分シーンまで丹念に考察し彼らのネットワークの中でリスペクトしてゆきます。初めは一動向であると考えていた社会全体も彼らの熱心な活動と真贋を極める洞察力の鋭さに、その発言力を無視することができなくなってゆきます。ここに「エロール・カイン」が「オタク」を生み出し、後者が前者を擁護するという図式が完成します。1985年頃にはビデオデッキの汎用普及率の煽りを受けて、レンタルビデオショップも多く出店してきます。個人間での金銭を伴う作品の流通は著作権法上できませんが、法人がこれらの権利者とロイヤリティの交渉をもち、既存の劇場用作品を賃貸によって流通させる動きが興ったのです。これによりオタク層の環境は更に改善され、より彼らの人口を増加させてゆく事になるのです。(タイトルをクリックで目次へ←) |
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